十分と充分の違いとは?意味や使い分け・差は?公文書はどっちを使う?よく使う言葉である十分と充分。話すだけなら迷うことはありませんが、いざ文字にするとなると、どっちが正しいのか分かりませんよね。そこで今回は、「十分」と「充分」の違いや意味・使い分けについてご紹介します!
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「十分」と「充分」のそれぞれの意味
「十分」と「充分」のふたつの言葉の意味や違いを正確に理解していなければ、当然使い分けにも悩んでしまいますよね。
まずはそれぞれの意味の違いについて、しっかりと理解しておくことが大事です!
「十分」とは
まず、「十分」とは、だんだんと数が増えていき、満杯になった状態を指しています。
そのため、「十分」には「十」という漢数字が含まれていますよね。
「十分」は数値化することができ、数量的(数値的・物理的)に満たされた状態のことを意味するのです。
つまり「十分」の特徴は、客観的にも満たされていることとなります。
「充分」とは
充分とは、満ち(充ち)足りることで、量的なものではなく感覚的な言葉として「充分」と表されます。
「十分」は上記で説明した通り、「客観的に満たされていること」でしたので、「充分」は主観的に満たされていることと捉えておくと違いがわかりやすいですね。
「十分」と「充分」のそれぞれの使い分け
「十分」と「充分」の意味を理解したところで、続いてはそれぞれの使い分けについて見ていきましょう!
「十分」の使い方
「十分」の使い方は、「目で見てわかる量などを表したいとき」や「漢数字で満たしていく様子を表現した言葉」などというように覚えておくといいです。
例えば、「飲み会のメンバーが十分集まった」や「十分な売り上げがある」などという例文の場合、「メンバー」「売り上げ」というのは数値化できますよね。
このように、明らかに数量的に満たされていることが分かるときには、「十分」を使用します。
「充分」の使い方
一方で「充分」の使い方はというと、「精神的な満足感などのように、感覚や感情を表したいとき」です。
「精神的な満足感」という感覚や感情は、計測が難しいですよね。
感覚的に、かつ主観的に見て満たされた状態を指したいときには、「充分」の使用が適切です。
使用例として、「お気持ちを理解できただけで充分です」「今日は充分なくらい楽しめた」などが挙げられます。
「気持ち」「楽しめた」は、極めて感覚的なものですよね。
こちらは感情が反映されているため、「充分」の使用で間違いありません。
「十分」と「充分」、どちらを用いるか迷った場合はどうしたらいいの?
上記で述べた例文は主観と客観の判断がつきやすいケースです。
でも、実際には主観と客観の判断がつきにくいケースもありますよね。
その場合「十分」と「充分」のどちらを使うのか分からなくなってしまいます。
そのような場合にはどうしたらいいのか・・・。
ズバリ、「十分」を使いましょう!
理由は明白です。
なんと、文化庁が「「充分」はあて字である」こと、「漢字を使うとしたら「十分」を採るべき」であることを明記しているからです。
以下、文化庁による「十分」と「充分」についての言及の全文を引用しますのでご覧ください。
「十分」と「充分」――いずれも普通に行なわれている。憲法では「充分」を使っている。本来は「十分」であって,「充分」はあて字である。また,「十」のほうが字画も少なく,教育漢字でもあり,「充」はそうでないことなどからも,漢字を使うとしたら「十分」を採るべきであろう。しかしながら,最近では,この語はかな書きにする傾向がある。公用文や「文部省刊行物表記の基準」などでは,かな書きを採り,「十分」と書くことを許容している。
「出典:URL」http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/05/bukai02/06.html
「十分」「充分」の一般的な使い分け方
上記で、「十分」と「充分」のどちらか迷った時は、「十分」を使いましょう!と述べました。
しかし、感謝の気持ちなどを表したいときには、「充分」を使った方がいいのです。
なぜかって?
その理由は、より感謝が伝わりやすいからです。
ですのでもし、相手に感謝を伝えたいときは、主観的に見て満たされており、なおかつ感覚的な「充分」という言葉を選択して、情緒的な感情を表現するように心掛けるといいですね。
「十分」「充分」の使い方の例
それぞれの使い方の例をもう少し詳しく見てみましょう。
「十分」の使い方の例
「不十分」「十分、注意しましょう」「補償が十分ではない」「十分、配慮されていた」「十分な食事と手当をいただいた」などです。
「充分」の使い方の例
「私にとっては充分だった」「もう充分いただきました」「次のステップへ進むのに、充分な研修内容だった」などです。
どうですか?「十分」よりも「充分」のほうが、満たされている度合いが強いイメージとなりますよね。
公文書はどっちを使う?
まず、公文書とは、公務員がその職務上で作成する文書のことです。
この公文書ではどちらを使うのがいいのでしょうか。
実は、「十分」と「充分」の二つの漢字に迷う人が多い中で、文部科学省の外局である文化庁は、公文書では「十分」を使うべき、という見解を示しています。
その理由を見てみましょう。
●本来の言葉は「十分」で、「充分」はあて字であること
●「十」のほうが字画が少なく、教育漢字であること
(教育漢字とは、小学校で習う漢字のことで、常用漢字のうち、特に重要なものが選ばれています。
ちなみに「充」は教育漢字ではないものの、常用漢字には入っていて中学校で習う漢字です。)
そして、結論として、公用文や「文部省刊行物表記の基準」などでは「じゅうぶん」とかな書きにするか、「十分」を使うことを許容する、としています。
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